Q:コーティングしてあるのは高額品ですか?

Q&A

ケースにコーティングを施されているものを高額品でよく見られますが、すべての高額品にコーティングが施されているわけではありません。

コーティング

国内メーカーでは、

  • セイコー・・・『ダイヤシールド』
  • シチズン・・・『デュラテクト』

    という名前で出しています。
    ケースやバンドの表面加工技術で、美しい仕上げや外観を維持しつつ、表面を擦り傷や小傷から守ります。

なぜ高額品にコーティングがかかっていない?

高級と言われる舶来でもコーティングがかかっているものは少ないのではないでしょうか?

セイコーでもグランドセイコー以外で、アストロンやプロスペックスなど、ダイヤシールドとというコーティングを使っているものは多々ありますが、グランドセイコーにはこのダイヤシールドというコーティングを使っていません。

コーティングがかかっているものと、かかっていないものとの装着感はやや違っており、かかっていない方が、装着感はいいように思われます。
また、コーティングされていないものは傷がつきますが、グランドセイコーではオーバーホールの際には研磨サービスがついています。
その際にはまた綺麗になって戻ってきますので、また感動があるのだと思います。
コーティングがかかっていると研磨は基本的にはできませんので、傷が入った場合はそのままとなります。

グランドセイコーの場合は、部品1点1点の手作りで、ケース、バンドにはザラツ研磨を施してあり、どちらかと言えば装着感、ぴったりとしたフィット感を重視したと思われます。

研磨工程

  • 荒バフ加工
    表面に研磨剤をつけたバフを回転させて、鍛造と切削によって成型されたケース全体を鏡面仕上げしていきます。
    ザラツ研磨を施す平面についてもザラツ研磨のさらに下地処理として荒バフ加工を行うことで、より美しい仕上がりに繋がります。
  • ザラツ研磨
    定盤の回転速度や研磨スピード、使用する副資材などを変えることで、ステンレススチール、チタン、18Kゴールド、プラチナそれぞれの素材特性に合った研磨を施します。
    ステンレススチールに比べて、チタンや18Kゴールドは1.5倍、プラチナは5~6倍の時間をかけて、平滑な鏡面に仕上げていきます。
  • 仕上げバフ
    全て手作業で仕上げます。
    仕上げバフが完了したケースは、そこに映り込んだものが歪みなく見えるほど、美しい鏡面に仕上がっています。
  • 筋目つけ
    仕上げバフが完了したケースは全体的に鏡面になっています。
    そこへ「かん足」などケースの一部の面に筋目をつけることで、外装の仕上げ分けを施します。
    サンドペーパーの目を利用して、ケースを一定方向にすーっと滑らせるように動かすことで美しいヘアライン仕上げとなります。
    髪の毛のように細いラインを直線的につけるのは非常に難しく、熟練の技が求められます。

ザラツ研磨

一度グランドセイコーを装着してみてください。
ストレスを感じさせない装着感です。
さすがグランドセイコーかと思いました。
普通、バンドのエッジ部分やケースの角部分が腕に当たって慣れるまではちょっと違和感があったり痛かったりするのですが、ケース、バンドにはザラツ研磨が念入りに入ってますので、装着感はとてもよくて、腕に沿うような着け心地感です。

グランドセイコーのケースは、見た目でも面がツルツルピカピカで角もシャッキリしています。
鏡面にはゆがみがありませんし、稜線いわゆる角が立っています。
これは丹念なザラツ研磨でしか出せません。
グランドセイコーのザラツ研磨は非常に優れており、匠の長年の経験を積んだ手作業で本当に1個づつ研磨をしているようです。

研磨工程の中でどちらに重点を置くか…

  • 鏡面の素地をつくる整面研磨
  • つやを出すバフ磨き

つやを出すバフ磨きは、やればやるほどつやは出ますが、稜線がどんどん無くなってしまいます。
整面研磨を機械でやるところが圧倒的に多い中、グランドセイコーは手作業でのザラツ研磨を入念にしていますのでそこでツルツルピカピカになってしまい、バフ磨きは少なくて済みますね。

コーティングのデメリット

傷が入らないコーティングではありますが、ケース、バンドを窯に入れてコーティングをしますので、入り組んだ細かいところなど、すべて隅々までコーティングがいきわたらない箇所が出てきます。

特にバンドなどは、1本のバンドとして窯に入れるため、駒と駒の間はコーティングがかかりにくい箇所も出てくるかと思われます。

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