衝撃で進んだと言われた
衝撃による、ひげぜんまいの絡み
精度を司るのは、”ひげぜんまい”です。
輪列、いわゆる噛みあった歯車、この一番先にあるテンプの中心、「ひげぜんまい」が、規則正しく伸び縮みすることで、テンプは安定した往復運動(通常280度~300度くらい)となりますが、外部からの衝撃で、「ひげぜんまい」が絡んでしまって往復運動が出来なくなった場合、左右規則正しい伸び縮みが出来なくなります。
テンプの往復運動の振り角が、左右で大きくなったり小さくなったりする「片振り状態」になってしまうと、速くなってしまったり、遅くなってしまったりします。
あるいは、ひげぜんまいが大きく絡んでしまって、往復運動すらできず、止まってしまうということもあり得ます。
特に、「ひげぜんまい」は、横からの衝撃によれやすいのです。
落としたり、また、ケース3時側(りゅうず側)への衝撃は、よくあることです。
(装着時、腕を伸ばした時に3時側が前になるので、当てやすい環境にあります)

巻き上げ時の振りすぎ
「自動巻きを、りゅうずで巻き上げたら進まないけど、りゅうずを巻かずに、ブンブン振って巻きあげると大きく進む」ということをちらほら聞きます。
その際に大きく進むのはなぜでしょうか?
メカニカルで秒針が規則正しく動くのは、テンプという心臓部分の部品が規則正しい往復運動をすることによって秒針も規則正しく動きます。
往復運動する仕組みですが、テンプ内部の「ひげぜんまい」という小さなばねが伸び縮みをしてテンプの往復運動を同じようなタイミングで回しています。

強く振ることによってそのひげぜんまいの伸びが計算よりも大きく伸びて縮むことになり、いわゆるテンプが ”振り当たり現象” を起こし、若干進んでしまうことがあります。
つまり、ボールを強く壁に当てると強く跳ね返る様な状態です。
テンプの回転は、ひげぜんまいが伸びることではね返る力が起き、縮むことでもはね返る力が起きるのですが、強く振ることでそのはね返る力が大きくなってしまい、秒針の動きが早くなってしまうということになります。
自動巻きの【振って巻きあげる】というのは、あくまで、普段の生活の中で回転錘が自動的に巻かれていくということなので、すぐに巻き上げる必要のある時は、りゅうずを巻いていただく方が効率もよく、機械への負担も少ないと思います。
それでも振って巻きあげたいという方は、思いっきり強く振るのではなく、ゆっくりと左右に振っていただくようにしてください。
なお、手巻きがついていないタイプのものもあります。
それは、毎日ご使用いただくか、振っていただくしか巻き上げる方法はありません。
