お客様からの電話
お客様相談室へ、時計店店頭で電池交換を断られたお客様から電話が入った。
「お電話ありがとうございます。〇〇時計お客様相談室でございます。」
『あのな、〇〇時計店に電池交換で持って行ったら、技術者がいないので、出来ないと言っていたが、メーカーとしてそれでいいのか?販売店の技術者育成もしなくてはならんのではないか?』
いきなりのご指摘を受けた。
「時計販売店様に商品を販売頂いたりお修理承りして頂いたりしておりますが、時計販売店様では、それぞれ独自に技術者の育成を行っておられます。
メーカーとして販売店様の対応にそれ以上の介入は出来かねます。」
『メーカーに電池交換で出すと2週間程預かりになると言われた。長すぎるだろ。』
メーカー修理と店頭電池交換とは考え方の違いがあるから、どう説明しようか・・・
「こちらで電池交換をお預かりさせて頂きますと2週間かかります。電池交換だけではなくパッキン交換や防水検査、運針検査等が含まれるからです。」
『私が〇〇で現役の頃、お客様を蔑ろにはしなかったぞ。』
「決して蔑ろにしている訳ではありません。こちら、メーカーでお預かりさせていただくのは、一通りの検査がありますので、日数がかかるのです。」
『他業界ではもっと早い』
「お客様が仰る他業界でのお仕事と時計の販売や修理のお仕事とをお比べになることは、業種もお客様からのご要望も違うと思われますので、一概に言えないのではないかと思います。」
納得できない様子だった。
私は、修理工場には全国の販売店から毎日多数の時計が集まり、順番に検査・作業を行っていること、そして単なる電池交換ではなく、防水検査や各種確認作業が含まれていることを説明した。
お客様も理解はしてくださったようだったが、
「電池交換なのにそこまで必要なのか」
という疑問は最後まで残っていたように感じた。
電池交換の作業内容について
【総括】
メーカーとしては、電池交換は単なる電池交換ではない。
一般の方は、
『電池を入れ替えるだけでしょ?』
と思っています。
ところがメーカー側は、
パッキン交換
防水検査
運針検査
内部異常確認
まで含めて考えている。
ここに大きな認識の差があります。
このお客様が本当に不満だったのは、
「2週間」という日数ではなかったのかもしれない。
お客様から見れば、
『電池交換くらい、その場でできるだろう』
という感覚だった。
一方、メーカー側は、
「電池交換は時計の健康診断でもある」
という考え方だった。
同じ「電池交換」という言葉でも、
お客様とメーカーでは見ているものが違っていたのである。
お客様相談室では、
時計を直すことだけではなく、
「なぜそうなるのか」をお伝えすることも大切な仕事だった。
おわりに
今回のお話は、私がお客様相談室で実際に経験した出来事をもとにしています。
時計は精密機械です。
しかし、お問い合わせの中には、「故障ではないのに故障と思われているケース」や、「少し知識があれば解決できるケース」が数多くありました。
実際の販売現場では、このような細かい質問への対応が信頼に直結します。

本書導入、ご検討中の方へ
本書は、販売員教育用テキストとして現場に合わせた活用が可能です。
導入や運用についてご相談されたい方はこちらよりお問い合わせください。

